痴漢は女性の尊厳を踏みにじる許されない犯罪です。 また、一方で冤罪が多発したり、 最近では信じられないことに死者まで出ています。 鉄道会社は女性専用車両を用意していますが、 一般車両は満員なのに女性専用車両だけガラガラになるなど、 積極的に活用されていないことも多いようです。
女性専用車両はうまく活用すれば痴漢を防止できるはずなのに、 なぜ積極活用されていないのでしょうか? UIの観点から考えてみた。
首都圏の女性専用車両はたいてい先頭車両か後尾車両にある。 ホームの階段は基本的にホームの中央あたりにあることがほとんどなので、 必然的に女性専用車両は階段から最も遠い車両になってしまうわけです。 WebやアプリのUIでも、わかりにくい場所にある要素をユーザーはなかなか使ってくれません。 そのような現象が起きている可能性があります。
人間が認識できる選択肢の限界は7つまでという有名な話がありますが、 例えば山手線は11両編成なので、選択肢としては限界の7つを超えています。 通勤電車の中には15両編成なんて路線もありますね。
これだけ選択肢が多いと直感的な認識が難しいので、 もはやユーザーはその都度「どの車両が一番ベストか」を考えることを捨て、 予め自らのルールとして決めた車両に毎日乗るという行動を取るようになるのではないでしょうか。 そうなると、比較的新しく導入された女性専用車両は、女性ユーザーの選択肢の中に入ることがそもそも難しいということになるのではないかと。 意識の中では「首都圏では先頭か、後尾にある」とわかっていても、猛烈な数の車両、人混みを前にすると迷いが生じると思います。
以上の「アクセスしにくい」「車両の選択肢が多すぎる」という理由から 女性ユーザーはよほど意識的に「女性専用車両に乗ろう」と思わない限り、女性専用車両には乗らない可能性が高い。 つまり、認知負荷や行動負荷が非常に重いわけです。 現状では「気づいたら女性専用車両だった」なんてことはあまりない。
女性専用車両はホームの階段付近に複数設置し、「視認性とアクセスのしやすさ」を高めるべきだと個人的には考えています。 複数設置することで女性ユーザーが選択しやすくなると考えるわけです。 例えば、11両編成に2つの女性専用車両を設置すれば5.5の選択肢に対して女性専用車両が一つあるということになる。 これで格段に選択しやすくなると思うのです。 「気づいたら女性専用車両だった」という状況を自然な形で作り出すイメージです。
階段近くに設置すると混乱が起きる恐れがあるのなら上記でもいいかもしれない。 階段を上った時にスムーズに視界に入る位置が好ましいはず。
これなら階段がホームの端にあった場合でもアクセスしやすくなるのではないか?
女性ユーザーの中には、女性専用車両内の臭いやマナーの悪さが理由で女性専用車両を避ける層も一定数いるようですが、 それらの層はある程度一般車両を利用してもらうとして、 上記のような階段/女性専用車両間のアクセスの良さを売りにして、 女性専用車両を積極活用していくという方向性もあるのではないかと思うわけです。 これは罪のない女性と男性を守るためにとても大切なことです。
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