AIの推論と、実行の権限を分ける
例えばAIが支払候補を正しく選んでも、実行までの間に承認が取り消されることがあります。判断の正しさだけを確認していては、その変更を見落とします。操作を実行する時点で、許可と条件を確かめる必要があります。
VEGAの開発では、研究・判断・執行・検証の役割を分けて設計してきました。AIの提案を業務ルールで評価し、実行側が権限と上限を確認し、実行後には相手側の記録と照合します。
設計で決めておくこと
提案の確からしさと、実行してよい範囲を別々に検証する。
01
一つのAIに、提案から実行までを委ねない
推論は、変化する情報から候補や理由を組み立てる工程です。実行の判定は、対象、上限、有効期限、許可範囲を確かめる工程です。役割を分けることで、説得力のある文章が、そのまま操作権限になることを防げます。
例えばAIが「この請求を支払うべき」と提案しても、送金先の確認、金額の上限、支払承認、重複の確認を通過する必要があります。推論が正しいかと、実行してよいかは別々に評価します。
- 提案
- 候補、理由、根拠、成立条件、未確認事項を出力する。
- 検証
- 入力の品質と、業務ルールを満たすかを判定する。
- 実行
- 有効な権限と制約の範囲で、対象の操作だけを行う。
- 結果確認
- 相手側の記録を照合し、実際の完了状態を確定する。
02
許可は、実行する瞬間の条件に結び付ける
提案時には有効だった条件が、実行時には変わっていることがあります。他の処理が資金や在庫を使った、設定の期限が切れた、運用が停止されたといった変化を、実行直前に確認します。
事前承認による自動処理は、毎回人に聞かなくても進められます。その代わりに、どの利用者の、どの対象へ、どの設定の版で実行するかを固定し、範囲外の操作を拒否する仕組みが必要です。
実行側で確認する条件
- 利用者・口座・処理対象が一致している
- 許可した操作、金額、回数の範囲内である
- 設定の版と有効期限が一致している
- 停止・取消の指示が反映されている
- 未確定の処理を重複して実行しない
03
「確認済み」の意味を一つにしない
単体テストが通ったこと、外部サービスと接続できたこと、業務として実行してよいこと、実際の結果を確認したことは、それぞれ別の証拠です。一つの合格表示にまとめると、残っている課題が見えなくなります。
表は横にスクロールして確認できます。
| 確認 | 確認できること | 別途必要なもの |
|---|---|---|
| ローカル検証 | 与えた入力に対する処理の振る舞い | 実環境の制約・接続・復旧の確認 |
| 実環境の検証 | 対象環境での接続と振る舞い | 業務上の実行許可 |
| 実行許可 | 誰が、どの範囲を許可したか | 外部処理が完了した証拠 |
| 結果の照合 | 対象の処理が実際にどう終わったか | 継続して運用するための監視 |
04
受け入れ条件は、困る場面から作る
正常に一度動くデモだけでなく、許可が切れた場合、入力が古い場合、同じ依頼が二回来た場合、途中で再起動した場合を確認します。起きてほしくない結果を先に挙げ、その結果を防げるかを試します。
例えば「期限切れの許可では送信しない」「未確定の処理がある間は同じ操作を追加しない」と、止める条件を具体的に決めます。その条件を実行側で検証できることが、自動処理を任せる前提になります。

